このサイトはアフィリエイト広告によって運営されています
船はみんな女の子?shipの代名詞|カリブの海賊で英会話を学ぼう
英語には日本語では想像も付かないような単語に性別を付ける場合があります。 英語に限らず、ドイツ語やフランス語などヨーロッパの言語には単語に性別をつける流れがあるためです。
代表的なのが「船」を意味する"ship"です。 日本語では船に性別があるなんて考える事は基本的にないと思いますが、英語の"ship"は女性名詞として扱います。
代名詞にも"she"、カリブの海賊のセリフを解析
"ship"は基本的に女性名詞ですが、最近では中性名詞として使われる事も多くなってきました。 しかし、ちょっと昔にさかのぼると、ほとんどのケースでは女性名詞として使われています。
18世紀が舞台となっていて、船がたくさん出てくる、ディズニーのヒット映画「パイレーツオブカリビアン 呪われた海賊たち」(Pirates of the Caribbean The Curse of the Black Pearl)のセリフを例に勉強していきましょう。
まずは、ジャックが捕まっている時にボルボッサ率いるブラックパールが港を襲うシーンです。 一緒に牢屋に入っている囚人がブラックパールの噂について話しています。
- 囚人:I've heard stories. She's been preying on ships and settlements for near 10 years. Never leaves any suvivors.
- 話は聞いている。(ブラックパールは)この10年間、船や町を襲ってきた。生き残った者はいない。
- ジャック:No survivors? Then where do the stories come from, I wonder?
- 誰も居ない?ならその話はどこから来たんだ?
- prey[play,""prey""] 奪う, 略奪する
- settlement[play,""settlement""] 人々が定住する場所
- survivor[play,""survivor""] 生存者、生き残り
ここでの"she"は町を襲撃しているブラックパール号を意味します。
"settlement"は「身を落ち着けること, 定住」を意味します。そのほかに植民地、開拓地と言った意味もあります。
18世紀のカリブ海はほとんどの島々がイギリスやスペイン、フランスなどの植民地です。 "settlement"にはイギリス人がカリブ海を植民地とし、定住しているニュアンスが感じ取れます。
次に、無事ボルボッサ達に連れ去られたエリザベスを助け出し、ブラックパール号から逃げているシーンです。 ギブスやエリザベス、ウィルは他のクルーたちと共にインターセプト号で逃走しています。
ただ、その頃ジャックはブラックパールの牢獄に捕まっているので、ここには居ません。
- ギブス:With this wind, she'll carry every sail we've got!
- この風で、すべての帆を使え
- エリザベス:What's happening?
- 何が起きたの?
- アナマリア:The Black Pearl. She's gaining on us.
- ブラックパールだ!追いつかれる
- carry sail[play,""carry sail""] 帆を広げる
- gain[play,""gain""] 手に入れる、捕まえる
ギブスが最初に言っている、"she'll carry every sail we've got"の"she"は現在乗船しているインターセプター号の事です。 アナマリアが言っている"she"は当然ブラックパール号の事ですね。
ついにブラックパール号に追いつかれそうになり戦うことを決めました。
- ギブス:The Pearl's gonna luff up on our port quarter! She'll rake us without ever presenting a target.
- 左舷船尾に急接近してくる、応戦の前に沈めるつもりだ
- luff up[play,""luff up""] 船首を向ける
- port quarter[play,""port quarter""] 左舷船尾
- rake[play,""rake""] 追突する
ここの、"she"もブラックパール号の事を意味しています。 また、このセリフでは船乗り特有の単語が出てきました。
"luff up"は船の向きを変えると言った意味です。
"port quarter"の"port"は左舷、つまり船に左側の事を言います。"port quarter"で左舷船尾、つまり船に左側の船尾部分の事を意味します。
"rake"は船に船首または船尾などの向きを変えると言った意味もありますが、 ここでは"crash into"を意味し、ブラックパール号はインターセプター号への追突しようとしています。
つまり、ブラックパール号がインターセプター号の左後方部に激突し、向きを変えさせ、大砲を撃つ前に船を沈めようとしています。
次のシーンはジャックとエリザベスが無人島から救出されたシーンです。 ジャックが海賊退治をするようノリントン提督を説得しています。
- ジャック:If I may be so bold as to inject my professional opinion. The Pearl was listing near to scuppers after the battle. It's very unlikely she'll be able to make good time.
- でしゃばっているかも知れないが、プロの意見としては、戦闘の後でブラックパールは船体が傾いている。やつらにとって今はいい時ではない
- list[play,""list""] 傾く
- scupper[play,""scupper""] 船の排水口(通常は複数形で"scuppers"で使う)
ここの"she"もブラックパール号の事です。インターセプト号との戦闘でブラックパールは船体が傾いているので、 今が海賊を一掃できるチャンスだとノリントンを説得しているシーンです。
宇宙船も女の子?スターウォーズの船も女性名詞
船は船でも、ちょっと違いますが、宇宙船も女性名詞として使われています。 海の上の船と全く同じです。
例えば、スターウォーズエピソード4のミレミアムファルコンの初登場シーンで、ルークに"What a pieace of junk!"と言われ、 ハリソンフォード演じるハンソロが反論しているシーンでも"she"が使われています。
- She'll make .5 past light speed. She may not look like much, but she's got it where it counts, kid.
- 光速の1.5倍出せる。そうは見えないが気に入ると思うぜ!
- past[play,""past""] 過ぎる、超える
- count[play,""count""] 価値がある
ここでは"she"が3回も使われています。
".5 past light speed"を直訳すると「光速を0.5超える」です。 つまり、言い方を変えると"1.5 times faster than light speed"、光速の1.5倍ですね。
また、英語では".5"のような1以下の小数点に0は付けずに省略できます。 そのため、"0.5"は".5"となり、"point five"と読みます。
"She may not look like much, but she's got it where it counts, kid"、 ミレニアムファルコンに関して「見た目はそれほどでもないが、あなたを満足させる」と言ったニュアンスです。
しかし、これはスラングで「彼女は見た目はそこまででもないが、ベッドに入ったら最高」と言った意味を持ちます。 そのため、本来は船ではなく、本当の女性に対して使われる言葉です。
ちょっと船の豆知識!左舷と右舷のおかしな英語
パイレーツオブカリビアンの中でも何度も出てきましたが、 船の部位を表す単語で"port"と"starboard"があります。
左舷(さげん)、つまり船の左側の部分を"port"とよび、右舷(うげん)船の右側部分を"starboard"と呼びます。
なぜ、leftやrightと言った単語を使わずに、しかも右と左で統一性のない言い方をするのでしょうか?
これは船乗りの歴史に秘密があります。
その昔、まだ船の中心に舵が設置されていなかった時代、すべてのボートはオールで舵取りされていました。 また、ほとんどの船乗りは右利きだったことで、オールはボートの右側に設置されていました。
"starboard"の"star"は、"steer"(舵取りする)を意味し、"board"はボートのサイドの事です。 その為、ボートの右側を「舵取りする側」、"starboard"と呼ぶようになりました。
次に、船の左側を意味する"port"です。
"port"はご存知の通り「港」という意味もあります。 時代と共に船のサイズが大きくなり、舵取りを行っていた船の右側はオールが邪魔になってしまうため港に付けることが難しくなりました。 そのため、港に停泊するときは必ず船に左側を港側にして泊めるようになったのが始まりです。 ここから、船の左側の事を"port"と呼ぶようになりました。